第19回議会報告
                   平成20年9月
目     次
[T] 福岡空港問題。
現空港を存続か、海上新宮沖移転か、年内に決着。
私は現空港存続を支持する。
[U] 「6町合併、白紙へ」と「九州はひとつ」。
これからは単町のみの行政運営は、ムリ、ムダ多し。
広域的提携が必要。
[V] 「後期高齢者医療制度」へ怒り。
 [W]  「赤字財政を断ち切れ。」
貯金は4割減り、借金は4割増える。
[T]どうなる福岡空港問題
1.5年後は発着の限界を超え、パンクか。
@ 現在の福岡空港の発着処理能力は14万5千回と見込まれている。
A 平成19年(07年)の発着の実績は13万7千回。
B 5年ごとの発着の見込み(国土交通省調査)。
平成24年 15万8千回  (処理能力を超える。)
平成29年 17万1千回  (10年後)
平成34年 17万7千回  (15年後)
平成44年 19万1千回  (25年後も大丈夫)
C 国土交通省の見込予測に不信もあるが。
新北九州空港の需要予測に対する実績は43.8%、市営地下鉄七隈線の
予測に対する実績は46.8%と需要予測を大きく下回っているが、
九州はアジア交易の拠点であり、交流基地である。需要の伸びは期待出来る将来
にわたって、滑走路1本での対応は無理であり、需要予測に対応出来る滑走路を含め、
施設の拡大が必要である。
2.最終決着への動き
福岡空港を管轄する国土交通省は8月7日、都内にて「福岡空港綜合的調査専門委員会」
を開催し、福岡空港の滑走路増設案と海上空港案の2案を代表案として決定した。
9月初旬に国土交通省、福岡県、福岡市の三者でつくる「福岡空港調査連絡調整会議」に
2案が提出され、直ちに県民及び地元への説明と意見の収集が実施され、最終的には
麻生知事、吉田市長の政治的判断で国土交通省へ報告、最終決定は12月頃の
予定となっている。
2案の内容は次の通り。
@ 滑走路増設案 
新滑走路はどこに 航空機発着の回数 事業費 工事期間 その他
現在の滑走路の西側210mに平行して、
2,500mの滑走路を新設する。
18万3千回
↓  
19万7千回
2,000億 8年 借地料

150億
A 海上新空港
海上は どこか 航空機
発着回数
事業費 工事と期間 問題点
新宮沖 海上埋立 2本

  3,000mを新設

    21万3千回

  〜       
   22万6千回
9,200億

1兆円
水深12m

13年以上
費用が掛かりすぎ。

漁業補償。

海底対策不明

冬の風対策不明

潮流変化による環境対策

国定公園
アクセス  等々
奈多海上 9,700億

1兆一千万円
水深13m

13年以上
3.空港問題発生以来(平成13年)、現福岡空港の存続を主張。主な理由、下記3点。
@滑走路の増設案に賛成。
現空港滑走路2,800mの西側210mに平行して、2,500の新滑走路を建設する。
事業費は2,000億円で、海上空港案1兆円の5分の1の安さで出来る。工期は8年で短期間。
問題の航空機発着の処理能力は5万回増えて19万7千回、増加する乗客にも十分対応出来る。
現空港の利点は、博多駅まで5分、天神の中心街まで10分、九州新幹線等との接続も容易。
これだけの利便性の高い空港は他にない。今後とも福岡及び九州全域の発展の原動力となる。
周辺地域への騒音、環境、安全性へは高い配慮を要す。
A海上の新空港案については、不安、不明の点が多過ぎる。
不明点への説明不十分。水深12m〜13m、北九州空港、関西空港の例をみるまでもなく、
難工事、不測の事態が起きても途中で中止というわけにはいかない。また冬の北風対策、
国定公園破壊影響問題、漁業補償問題、等々。一番の問題点は1兆円の負担を誰がどの割合
で負担するのか、誰も語らない。工事期間も長すぎるし、大型航空機から中型機へ移行
している中、3,000m滑走路が必要なのか、疑問。問題の多い海上空港案を選択する根拠
は薄い。
B現空港に滑走路を増設し、北九州空港、佐賀空港との連携を強化し、
3空港が一体となって、アジアの玄関口としての役割を果たすべきである。
「九州はひとつ」の姿を実現。

24時間営業、貨物量、人の交流等、アジアとの人、モノの流れは加速される。1つの空港
だけでの対応は不可能。3空港が業務を分担すれば大型ハブ空港に匹敵する機能を
果たすことが可能。福岡空港の一人勝ちでなく、北九州空港、佐賀空港との共存共栄を
図っていくべきである。(九州の国際空港の必要性が問われるときは、九州各県の意見
を統合し決定すべきである。今はその時期に非ず。)
4.むすび
今の空港を残し、新しい海上空港と合わせて使用することは出来ないのか、との質問を
受けますが、双方の空港が近すぎて危険なため、両方の併存は不可能。12月末までに
決着の予定。私は「福岡空港調査連絡調整会議」の会員として、渇走路増設案を支持し、
意見を申し続けていきます。
[U]どう変る「6町合併問題」と「九州はひとつ」
1.粕屋6町合併問題
@ 粕屋6町合併実らず。
平成18年10月 …… 粕屋郡6人の町長、合併研究会を発足。
平成19年12月 ……
6町揃って「法定合併協議会設置」の議案を議会へ提案。粕屋、久山両町の否決。
白紙へ戻さる。
法定合併協議会設置」に対する議員の賛否(平成19年12月議会)
賛成議員 反対議員 結果
志 免 町 8人 7人 ○ 可決
宇 美 町 13人 2人 ○ 可決
須 恵 町 13人 0人 ○ 可決
篠 栗 町 6人 5人 ○ 可決
粕 屋 町 8人 9人 × 否決
久 山 町 3人 8人 × 否決
※ 「法定合併協議会」とは6町が同じテーブルにつき、合併の目的や条件、
問題点を出し合い、協議する場。結果を見て、最終的に町民が判断する。議会、町民が
合併についてしっかり勉強し、議論する場であったが、議会の否決で勉強の場が
失われたことは残念。
A 6町合併のヴィジョン、目標が住民に示されず、中途半端な説明に終わった。
合併は手段であって、目的ではない。6町合併によって、単町では出来ない色々な
事業が可能となる。6町合併のヴィジョン、目標がまず住民に示され、伝わらなければ
ならなかったが、説明不十分で住民に伝わらなかった。合併を単町の損得だけで
議論されているようでは、合併は成就しない。合併は未来の町づくりの構想である。
B粕屋町長、「合併任意協議会」の設立へ(9月議会)。
「これまでの6町合併では町民への情報公開が足りなかった。
任意協で合併後の新市の目標や情報を町民に伝えていきたい。」 
先の12月議会で「法定協」を否決した粕屋町は改めて「任意協」を立ち上げ、
町民への勉強の場をつくった。
C6町合併で429億円の節約。
合併のもう一つの効果、145.7ku(6町の面積)の小さな地域に、6つの役場、
6人の町長、12人の副町長、教育長、87人の議員ほか職員等が本当に必要か。
試算によれば、6町が一つになれば、町長は1人、副町長、教育長は2人、議員は
87人が34人に減り、その他の削減効果を合算すれば16年間で約429億円の
節約が出来る。節約分が使えれば、今問題の後期高齢者の医療費の負担分の
軽減に役立てるし、小中学校の補助教員を大幅に増やし、子供たち1人1人に
行き届いた教育も可能となる。単町ではいくら頑張っても、10億円前後の
財源カットが精一杯。429億円の冗費を放置してはならない。勿体ない。
D志免町の選択。
イ) 継続して、粕屋6町合併、東福岡市(仮称)を目指す。
   (志免、粕屋両町が合併の推進役となれば、合併は加速される。両町長の
   リーダーシップに期待。)
ロ) 粕屋6町合同して、福岡市への編入を目指す。
ハ) しばらく静観し、わが町の行財政改革に専念する。先ずは自らの町の
   行財政改革に専念し、粕屋6町の合併と福岡市への編入問題については、
   今後の検討課題とする。
2.「九州はひとつ」、発展のチャンス。
@ 九州新幹線開通が九州を変える。
新幹線の開通で九州は一挙に縮まる。博多−熊本間は30分の通勤時間、
博多−鹿児島間も楽々日帰り。福岡で働き、週末は山村での暮らしも可能。
新しい暮しの型を過疎対策
、※限界集落対策に活かされないものか。時間の短縮は九州全域の観光事業を一変させる。
従来のエリアから広域、他県との共同が必要な時代となる。広域、九州全域の戦略の
見直しが急務。
※ 限界集落とは65歳以上者が半数を占める集落。九州には1,635の限界集落があって、
10年以内に無くなる集落は53。10年後、いずれ消滅する集落は319。
空き家の無料開放、定住者の誘致(外国人も含め)、対策急務。
A 自動車産業が九州を変える。
トヨタ(若宮市)、日産(苅田町)、ダイハツ(中津市)、3工場の生産台数は
100万台突破。1〜2年後には150万台が見込まれる。経済効果は1兆5千億円。
雇用も増大、地域の活性化へ大きな貢献。熊本県の半導体産業と合わせて、
九州全体飛躍の起爆剤となる。1地域、1つの県での対応では、無理。
九州全土の将来を見据えた戦略が必要となる。
B 九州をアジア留学生の拠点へ。
アジアからの留学生を受け入れ、人材の育成に貢献する。九州はアジアの玄関口。
アジア各国の発展に寄与するのは日本の務めであり、留学生養成の拠点は九州。
積極的に取り組む。
3.むすび
従来のような県同士の張り合い、競い合いの時代は過ぎた。県境を越え、地域相互、
九州全土の戦略が重要。私たちの考え以上の速いスピ−ドで、世界、日本、地域が
変革していることを読み取るべきである。
[V] 「後期高齢者医療制度」へ怒り
1.後期高齢者医療制度の経緯
03年(H15年)3月

 医療改革の基本方針を閣議決定。
 75歳以上者に新保険制度を創設。
高齢者の窓口負担をどう抑えるかが主題で、
「いい医療を
どう提供するかが欠落している。」
05年(H17年)9月
 郵政民営化の総選挙で小泉、自民大勝。
05年(H17年)12月

 医療制度改革大綱

  08年(H20年)より75歳以上を切り離した

 保険制度創設
小泉首相に反論するものなく、突っ込んだ議論

もなしに、75歳以上の線引きが確定。
06年(H18年)6月15日

 医療改革関連法成立 

   06年(H18年)10月から70歳以上

   現役並み。2割から3割へ。
 
   08年(H20年)4月から70〜74歳、
 
  1割から2割へ。
高齢者の感情に配慮した意見はほとんど

聞かれず、成立
08年(H20年)4月
 「後期高齢者医療制度」発足
2.窓口負担の経緯
06年10月以前 0歳〜3歳未満 3歳以上〜69歳以下 70歳以上
2割 3割 現役なみ 2割
一般   1割
06年10月以降 0歳〜3歳未満 3歳以上〜69歳以下 70歳以上
2割 3割 現役なみ 3.割
08年4月以降 0歳〜3歳未満 3歳以上〜69歳以下 70歳以上
2割 3割 現役なみ 3割
70〜74歳 75歳〜
一般2割 一般1割
3.高齢者の怒り爆発
(山口補選、沖縄県議選で自民大敗)
○ 制度の目的が医療費を抑えることで、高齢者の医療をどう改善するかが欠落。
○ 負担増に高齢者は悲鳴。70歳〜74歳、窓口負担は1割から2割へ引き上げ、
組合健保の75歳以上者は新しく保険料の負担。2年毎に見直し、保険料は
増えていく。
○ 小額の年金から天引き。高齢者への思いやり、優しさのかけらもない行政の
対応に、高齢者、国民は怒る。
本制度の凍結、緩和、見直し等は下記の通り
@ 凍結。
イ) 70歳〜74歳の窓口負担の2割を1割へ引き下げる(1年間)。1年後、2割へ
   引き上げるかどうかは未定。
ロ) 組合健保の扶養家族75歳以上者、4月以降2年間の本人負担は5割軽減
   となっているが、
  4月〜9月は全額免除、9月〜3月は1割負担。(09年4月〜3月の1年間は
  5割負担の予定。)
ハ) 75歳以上者の特定入院患者が90日を超過した場合、診療報酬の減額をしていたが
   、これを凍結。実施は08年(H20年)10月から。
二)終末期相談支援料の凍結。
A 緩和
イ)保険料滞納罰則の緩和。75歳以上者のうち、夫婦238万円以下、単身203万円以下
の人で保険料の滞納が生じても保険料の取り上げをしない(国の方針、地域への一任)
ロ)療養病床削減の緩和35万床から15万床への削減を、22万床へ緩和変更。
B その他見直し。
イ) 保険料の年金天引き
ロ) 保険料の軽減
ハ) 定額診療報酬
ニ) 担当医問題
ホ) 障害者加入問題
4.本制度は凍結し、改革案を以って信を問うべし
4月にスタートした時点から次々と問題噴出。その都度、凍結、緩和、検討中。国会で審議、
可決、成案になったものが、次々に問題点の指摘を受け、訂正、手直しをしたなんて、
前代未聞のこと。潔く撤回し、改めて改革案を提出し、信を問うことこそ、王道である。
現在の高齢者は赤紙一枚で国のため、家族のため、命をかけ戦い、
敗戦後は夫婦して復興のため汗を流し、苦しい家計の中から税金も払い、社会にも立派に
貢献してきた人たち。波乱万丈の人生も最後のステージ。長い間、ご苦労様、有難う
ございましたと、労いを頂くと思いきや、医療費の使い過ぎ、痛みを知って貰うために
応分の負担を頂きますと、ぎりぎりの年金から有無を言わさず天引き。敬老、長寿への
思いやりの一片もない非情な制度に対し、怒りすら覚える。 安心して老後の暮らせる
制度への変革を切望する。
5.むすび
中曽根元首相の「後期高齢者医療制度」に対する討論の中で曰く、
                               (TBSテレビ番組放映)
 「名前が実に冷たい。愛情の抜けたやり方に老人が全部反発している。」
「至急に元に戻して考え直す姿勢をはっきり示す必要がある。」
[W] 「赤字財政」を断ち切れ。
1.貯金(基金)は4割減り、借金(地方債)は4割増える。
@平成13年の基金の額と地方債の額はほぼ同じだったが、
6年後の平成19年には基金は29億円に取り崩され、地方債は約28億円が増える。
年度末 H13年 H14年 H15年 H16年 H17年 H18年 H19年
貯 金 基 金

残 高
66.6億円 59.8億円 50.3億円 47.8億円 45.6億円 2.5億円 37.8億円
借 金 一般会計

地方債残高
59.0億円 68.8億円 91.0億円 91.8億円 91.0億円 88.0億円 87.1億円
A 頼みの県市町村災害共済基金(任意)も底をつく。
平成13年、26億7千万円の基金積立金は一般会計補填のため毎年取りくずされ、
6年間で21億7千万がなくなり、平成19年度残高は5億円と底をつく。
H13年 H14年 H15年 H16年 H17年 H18年 H19年
県市町村
災害共済(任意)
26.7億円 22.7億円 15.4億円 14.1億円 12.1億円 9.7億円 5.0億円
B平成19年度の基金の積み立てはゼロ。
積み立てをする余裕なし(ゼロ)
H1年 H112年 H13年 H14年 H15年 H16年 H17年 H18年 H19年
基 金 の
積 立 金)
3.5億円 3.5億円 3.1億円 1.4億円 1.0億円 0.6億円 0.2億円 0.2億円 0億円
2.「行財政再構築プラン」実践中。平成17年度〜21年度の5ヵ年計画。
@ 基金の取りくずし、基金頼みの赤字財政からの脱却。
(赤字財政から黒字財政へ。)
災害共済基金(任意)は平成13年のピーク時には26億9千万円の積立金があった。
取りくずしが進み、平成10年度末には5億円までに落ち込む。災害共済基金(任意)
がなくなれば、次は財政調整基金、減債基金の取りくずしへと進むか。
A 局面打開の一手は、現在進められている行財政再構築プラン5ヵ年計画の目 標額達成にあり。
目標額(平成17年〜21年の5ヵ年計画
1. 人件費抑制   2億1千万円
2. 補助金の見直し 2億5千万円
3. 事務事業の見直し  1億円
4. 歳入確保、特会見直し 1億円
---------------
6億6千万円
歳入歳出予算額を90億円以内におさめうれば、基金に頼らない予算、黒字予算を実現しうる。
B 行財政再構築プランの進行状況は極めて厳しい。
庁内全員、事の重大性を認識し、心新たに取り組んでほしい。厳しい状況下にありながら、
町民への説明、職員への徹底が不十分。執行者である行政からは、「必死」の姿、形が
見えないし、「熱意」も伝わってこない。単なる努力目標に終わらせてはならない。
緊張感を持って取り組むべし。
「しいのみ学園」の102歳の昇地しょうち先生
志免町へ。私たちのために講話を。
10月10日(金) 町民センター 13:30〜15:30

      お話「元気で長生き」
  
       聞いたら、必ず元気が貰えます。
講師  昇地 三郎 先生
しいのみ学園創立者。102歳、今も現役。80年間教育の現場にあって、知的障害児教育
に没頭。「90歳代までは人生の助走期間。100歳からが本番です。」95歳で中国語を学び、
今も外国語を勉強。今年もブラジル、セネガルを訪問予定。100歳を超えて海外を飛び回る
健康の秘訣は、「手をこまめに動かす手八丁、よくしゃべる口八丁、よく運動する足八丁を
心がけ、食事は必ず30回かむ。」