第11回議会報告
特集 志免町の合併問題
はじめに
志免、宇美、須恵の3町は任意の合併協議会から法定合併協議会へ移行し、
本格的な話し合いを進める段階まできておりましたが、最後になり、須恵町が
難色を示したことで白紙に戻されることになりました。3町の問題は白紙に
戻されましたが、合併の問題は志免町にとって大事な問題、色々な枠組を
通して町のあり方や将来について勉強しておく必要があると思い、不明をも顧みず
私の所見を交えてまとめました。ご指導ご意見を頂ければ幸甚に存じます。
           
1. なぜ今、市町村合併が進められようとしているのか
2. 国の合併推進のための施策
3. 志免町の進む道(合併の枠組)は
4. 合併にとらわれず、いま取り組むべき課題は
5. 町づくりのビジョンを
6. 最後に
7. 平成16年3月議会以降の動きについて
資料:粕屋郡内財政力一覧表
[1]なぜ今、市町村合併が進められようとしているのか
平成14年4月 市町村数3,218 → 平成17年3月 1,000へ
国の建前は
@ 地方分権が進められるなか受け皿の市町村がおおくの住民の要望に
応えていくためには合併によって規模の拡大をはかり、行政のレベルをあげ
多様な住民サービスの要求に応えられる体制づくりが必要になってきた
A 少子高齢化の社会が進み税金を納める人とサービスを受ける人のバランスが崩れ、
併せて経済の低迷は税収の落ち込みとなり国の財政はいうに及ばず、
町村の財政運営も厳しい状況にたたされている
国の本音は
@ 長期の経済低迷で税収が大幅に落ち込み、国の財政は借金で火の車。
これ以上の借金は国の財政を破綻させる。国の財政赤字をくいとめ減らしていくこと
が至上命題。平成15年の国の債務残高は700兆円、そのうち地方市町村への
仕送り債務残高は200兆円
※04年(平成16年)予算
44.5%は借金
税収 41兆7470億円
税収外 3兆7739億円
国 債 41兆5900億円
総額 82兆1109億円
A 福岡県も福岡市の財政も危機的状況にあります。平成16年 福岡県県債残高 
2兆3800億円(過去最高の借金)平成16年 福岡市市債残高 2兆6800億円
(市民1人あたり借金は 194万円)(志免町1人あたり借金は 18万円)
[2] 国の合併推進のための施策
@ 合併特例法・・・・・アメの部分
 合併を推進させていくための財政優遇措置。2005年3月末までの時限法。
イ. 合併前の地方交付税を10年間保障する。
ロ. 合併特例債優遇措置の適用。道路、施設などの建設費の70%を国が
交付税で肩代わりするが残り30%は町村の借金となる。
ハ. 2005年3月までに合併申請をした場合、翌年度中合併すれば特例法扱いとする。
A 三位一体の改革      国と地方の税財政の見直し・・・・ ムチの部分
 2004年度から国の補助金や地方交付税を減らし、その代わりに税源を地方へ移譲し、
 現在国がかかえている地方財政の借入金(国から地方への仕送り分)200兆円分を
 これ以上増やさない、減らしていく財政の引き締め政策。したがって、今後、地方交付税
 の減額は覚悟せねばならない。
B 合併新法案    @の合併特例法後の新法案  知事勧告
イ. 知事は「法定合併協議会」の設置を市町村に勧告できる。
ロ. 知事は推進のため調整委員を任命し、斡旋や調停を行わせることができる。
ハ. 地域自治区の設置、合併特例区(合併後5年間)を認める。
[3] 志免町の進む道(合併の枠組)
@福岡市への編入 郡内合併
A志免・宇美・須恵・粕屋・篠栗・久山・
 粕屋郡内6町との合併
B志免・宇美・須恵、3町との合併
C広域連合、広域行政的考え 単町で静観し、将来を決める
D単町で静観する
以上、5つの枠組 について検証(メリット、デメリット、その他)しました

最後の郡内及び福岡市の財政力の資料を参考にしてください。
枠組@ 福岡市への編入(現在の福岡市の人口130万人→粕屋圏域を加えれば
人口150万都市へ<
【期待するところ】福岡市への編入が実現すれば
イ. 福岡市はこれからも、日本の西の玄関口、アジアの玄関口、 国際都市として
九州の中で唯一発展する都市として期待される。
福岡市への編入となれば、高い教育、文化、医療、福祉、更にはスポーツ施設等
が身近なものとして自由に利用できる。
ハ. 地下鉄の延伸、交通の整備、道路河川の整備が進められる。
【福岡市の編入に対する考えは】
福岡市はいま財政的に火の車、周辺市町との合併編入についての取り組は消極的
然し、九州での福岡市への一極集中が進み、今後とも国内世界の一流都市として
の地位を確保していくためには、志免町を含む粕屋圏域との提携協力は必要不可欠なもの。
志免町及び、粕屋圏域は福岡市のベットタウンとして、農・漁の生産供給地域として、
また、開拓余力のある地域として、福岡市にとっては魅力ある地域として注目している。
現時点での編入のはなしは無理かも知れないが、将来的には可能性も十分考えられる。
枠組A 粕屋郡内6町ないし7町との合併
志免・宇美・須恵・粕屋・篠栗・久山・新宮、7町  人口20万人
志免・宇美・須恵・粕屋・篠栗・久山、   6町 人口17万6千人
【期待するところ】
イ. 福岡市、北九州市の両政令都市の中間に位置し、両市との提携協力を
進めることにより、九州経済の発展へ大きく貢献できる。
粕屋圏域が一つにまとまれば、両政令都市へも対等の立場で対応できる。
特に福岡市にとっては発展余力のある粕屋圏域との提携協力は必要不可欠。
【心配な点】
福岡市に密着した細長型の粕屋圏域の各町は隣同士のヨコの関係よりも
政治、経済、生活面からも福岡市との関係の方が強いつながりを持つ。
果たして粕屋郡内が一つにまとまることができるか。
各町とも財政的には比較的に恵まれており合併についても様子をみる段階で、
いま一つ積極性、盛り上がりに欠ける。
【粕屋郡内町長へ】「粕屋はひとつ」の哲学に考え方を統一できるか
九州新幹線全面開通、世界的なパラマウント社の久山町進出、現福岡空港問題等々
福岡一極集中は加速される。合併問題はぬきにしても、粕屋圏域が一つに
まとまって問題に対応していくことが肝要な時代になっている
自町のエゴにとらわれず、激動の中、粕屋圏域の進むべき道を示すべきである。
「小異を捨て大同につく」各町長の器量に期待する。
枠組B 志免・宇美・須恵、3町との合併(人口10万2千人)
須恵町法定合併協議会の設置ならず。3町合併白紙に戻る
【期待するところ】
イ. .お互いに気心の知れた仲間、人口10万人の都市は効率性の限界点。
ロ. 歴史的にも経済的、文化的にも同じ郷土の土壌ではぐくまれてきた。
ハ. 3町が力をあわせて小さくともキラリと光る町づくりを目指す。
【この点が心配】
イ. 町の目玉、売り物、個性となりうるものが少ない。子どもや孫たちに
大きな夢をあたえられるような町づくりが可能か。
3町の政策を最大公約数にまとめ、新しい町づくりのビジョンとしてまとめうるか、
町の同意が得られるか。須恵町の離脱で白紙に戻されたが、3町合併のチャンスは
残されている。
.福岡市と一緒になるよりも、3町の方が魅力があるという町づくりの写真ができるか。
3町の町民の福岡市への編入の願望は根強い。
【今の3町間の考えは】
イ. 3町間の大きな温度差がある。第一関門は、4月上旬の法定合併協議会が
議決できるか?(須恵の脱退で3町合併はならず)
3町の法定合併協議会の議決の結果がどうであれ、志免町の合併に対する
勉強を通じ、現在・将来の町づくりの糧としておくべきである。
枠組C 広域連合、広域行政的考えを取り入れた行政広域連合、
広域行政的な考えを取り入れた市町村行政のあり方も一つの考え。
【考え方】(ムダ、ムリを省き経費の節減と効率性を高める)
イ. 各町の個性、独立性を堅持し、各町は基本的な町づくりと住民サービスに徹する。
ロ. 多額の資金を必要とするもの。例えば、消防、救急、給水、し尿処理、
ゴミ処理、医療、福祉、学校、文化施設、スポーツ施設(グランド・体育館等)
について共同出資共用で解決する。
ハ. 共同出資と共用利用ホール、美術館、運動場、図書館、大型公共事業、交通道路、
河川等々。
【今後のすすめ方】
行政間の縄張り意識を排除し、住民本位に発想の転換をはかり施設の共用利用を、
現在の部分的開放から全面的開放へ逐一拡大していく。大きな冗費、ムダ使いが
節減可能となる
枠組D 単町で静観する    不明の部分が多すぎる、時期を待つ。
合併が新しい町づくりの一手法であることは理解できるが、半端な気のすすまない
合併ならしない方が良い。一旦したら後戻り解消はできないのが合併だ。
慌てず熟慮のうえ町民の理解を得た上で将来を決めるべきである
イ. 国の進める三位一体改革で、税源移譲部分が不透明だし、地方交付税も
どこで下げ止まりするか不明。 財政状況の将来性がみえない段階で、
将来性を予測し、合併のみをすすめるのは如何なものか。ある程度確かな
財政状況がつかめてからでも遅くない。
志免町の財政状態は現段階では税源移譲分が不透明、減額がどれくらいになるものか。
行財政改革がどこまでやれるか等によって単町維持の可否が判断できる。単町の道を選び
自力で5万人の都市をめざすのも一つの選択肢。
[4] 合併にとらわれず、いま取り組むべき重要課題は
@宇美川の水害防止対策の早期改修を。あわせて町内の内水対策も推進する
改修工事全体の実施計画と内水対策の実施計画を町民に明示し逐一報告を。
水害及び緊急時における行政及び町民のマニュアルを全家庭へ配布徹底を図る。
Aダイヤモンドシティー進出に対する迅速な対応を。
イ. 交通混雑対策・・・・すすんで対策に乗り出せ幹線道路はいうに及ばず、周辺の地域の
生活道路にまで車があふれ、事故犯罪を起こす。対策を講ぜられたし。
通学路の安全性をう守るか、事故事件が起きてからでは遅い。
ロ. 町の商店、事務所への支援地元お金は地元の店屋さんで使う。
行政は商品券サービス、その他全面支援を。
B「シーメイト」の最大限の活用に専念を。
イ. 建設資金約35億円、年間維持管理費約1億4千万円。
ロ. 住民のためにどれだけ役立ったか、利用されたか
C行財政改革の推進・・・・改革数値を明確に町民に示す
イ. 組織と人件費の見直し職員、議員の員数は適正か見直し。組織の見直し、統合を。
職員のレベルアップ。
ロ. 事業費の見直し(仕事とお金の使い方の見直し)予算概要書による適正事業の可否について
毎年チェックし無駄使いを排除。
[5] 志免町の町づくりのビジョンを示す
「志免町には何もない」と嘆く声を耳にする。
私はそうは思わない。少子高齢化の進むなか、子どもが増えての人口4万人
突破の町は全国でも珍しい。福岡県庁、福岡市役所、新幹線博多駅、
福岡空港へ最短距離、利便性は最高。更に今後は新幹線の全面開通。
世界的なパラマウント社の久山町進出等にともない福岡一極集中は加速される。
隣接地志免町の果たす役割も大きい。魅力ある町づくりこそが肝要
「志免町はどんな町」と聞かれた時、日本一の教育と日本一の健康づくりを目指す町
と胸をはって
日本一の教育を目指す町
イ. 組織と人件費の見直し小学校低学年児童より英語の学力を養成(将来の国際人)
.組織と人件費の見直し小学校、中学校二学期制で学力の向上を
ハ. 組織と人件費の見直し階層別習熟度教育・・・・サブティーチャーの積極活用
ニ.. 組織と人件費の見直し勉強を通しての人間形成を・・・・努力、達成感、喜び日本一の
健康づくりを目指す町・・・・高齢者へ元気な心と体を。
医師指導による「ウオーキングで筋力アップ」
組織と人件費の見直し小学校低学年児童より英語の学力を養成(将来の国際人)
筋力を強化し転倒、骨折防止、寝たきり、痴呆の予防、生活習慣病を予防し、
高齢者へ元気な心と筋力を養成する。
組織と人件費の見直し小学校低学年児童より英語の学力を養成(将来の国際人)
高い医療費、介護保険の行政負担分4億円を高齢者の筋力アップ健康づくり2億円
になるまで軽減し、軽減分の2億円をこどもの教育費に回す。ウオーキングでこども
の教育を支援する。
[6] 最後に
合併の議論をする場合大事なことは、合併は手段であって目的ではない。
特例債目当てや損得だけで合併を考えるなんて間違いだと思う。
『合併は国や町のためにやるのではありません。町民の、現在、
そして将来の幸せのためにやるものです。その為には、皆さん一人一人が
どんな町づくりを望むのか、希望する町づくりのビジョン実現のためには
どの道を選ぶのが一番よいのかをじっくり考えて選択することです。』
[7] 平成16年3月議会以降の動きについて
@ 平成16年4月8日・・・・3町合併白紙へ
  志免、宇美、須恵3町による合併推進のはなしは最後の段階で須恵町が町民の
  合意が得られないという理由で離脱し、3町合併のはなしは白紙に戻された。
A 平成16年4月19日・・・・臨時議会開催
  志免町議会で臨時議会が開かれ志免、宇美2町の合併を推進していくための
  法定合併協議会の設置を求める意見書が12名の議員より提案され、賛成12名、
  反対5名で可決されました。(宇美町議会にても同様の意見書が可決されました)
B 本件についての私の反対意見(要旨)
  私は今の時点で志免、宇美2町のみの合併をすすめていくのは不可と下記の4点を
  あげ反対意見を申し述べました。
イ.4月8日。志免、宇美、須恵の3町合併の話が白紙に戻されましたが理由、
  経緯今後の問題等についての町長より町民への公式の説明責任もなされていない
  まず、町長より町民各位に対し、説明責任を果たしけじめをつけることが先決
ロ.合併特例債(アメの部分)のあるうちにシャリムリ合併の実現を
  目指すのは如何なものか。合併の本来の目的及び誰のために何をするのか、
  原点に戻り、町民合意の合併で進めるべきである。合併特例債目的には反対。
ハ.町合併の可否を決定するのは町民であり、町民の意思、意見の反映されない
  町民無視、町民不在とも思われる志免、宇美2町間の合併推進の意見書には納得がいかない。
  合併論議を町民に戻し、スタートすべきである。
ニ.これからの九州の政治経済は福岡への一極化が加速される。志免町を含む
  粕屋圏域の果たす役割は大きい。今の段階では粕屋圏域が「粕屋は一つ」として
  動くことが望ましい。志免、宇美2町の枠組は次善の策として考えるべき問題である

C 平成16年5月19日 全員協議会開催
  4月19日臨時議会にて可決されました志免、宇美2町間の合併を進めていくための
  合併協議会設置を求める意見書に対し、南里町長は次のような理由で設置しないことを表明。
【反対の理由】
1) 志免、宇美、須恵3町間の合併が白紙に戻ったら、即次は志免、宇美でというのは如何なものか。
2) 合併特例債にとらわれることなく、合併のスケールメリットも考慮し、時間をかけ検討したい。
3) 民意を反映した町づくりを目指すが合併へ。
4) 粕屋全体の合併問題の推移も考慮。 5) 合併特例債の恩典を受けようとすれば時間的に無理。
  以上、合併問題については、3町、2町とも白紙に戻され、改めて一からやり直しとなった。
志免町 宇美町 須恵町 粕屋町 篠栗町 久山町 新宮町 古賀市 福岡市
人口(15.3.31) 38,773 37,440 25,565 36,193 30,154 7,799 22,682 56,232 1315.007
総面積(?) 8.70 30.22 16.33 14.12 38.90 37.43 18.87 42.11 340.03
人口密度(人/?) 4,344 1,262 1,536 2,465 756 204 1,189 1,317 3,953
平成12年高齢化率(%) 14.1 13.3 15.4 11.9 15.5 19.4 12.7 13.6 13.3
(平成14年度見込)
歳入合計(百万円) 11,803 10,564 7,973 12,457 11,495 4,110 7,454 17,002 750.317
地方税(百万円) 4,143 1,262 1,536 2,465 756 204 1,189 1,317 3,953
地方交付税(百万円) 2,031 3,282 2,154 1,924 2,655 1,024 1,056 3,872 71,705
歳入に占める割合 17.2 31 27 15.4 23 24.9 14.1 22.7 9.5
1人当り(千円) 52 87 84 53 88 131 46 68 54
財政力指数 0.65 0.48 0.50 0.70 0.49 0.50 0.74 0.60 0.73
自主財源比率(%) 53.3 50.9 48.0 55.8 46.7 56.4 63.5 45.8 57.0
経常収支比率(%) 78.3 74.5 78.1 72.7 76.4 83.8 75.7 80.7 85.7
積立金現在高(百万円) 3,259 3,714 2,551 4,280 4,439 1,086 5,298 4,907 59.732
地方債残高(百万円) 6,880 10,980 8,206 15,742 9,124 3,627 8,355 1,6348 2,680,000
1人当り借金(千円) 18 29 32 43 30 47 37 29 1940
資料出所:福岡県市町村要覧2003
※地方税とは、町が徴収する税金。多いほど体力がある。 地方交付税とは、国からの町への仕送り。
  少なくなってきた。財政力指数は1に近いほど良い。
自主財源比率は高いほど良い。
       積立金とは、貯金。地方債とは、借金。
福高同窓及びご家族各位様
   本議会報告は後援者の方へ送付させていただいております資料です。
   今回は志免町が初めて経験する合併の問題もあり、何か参考にして
   頂ければと思いお届けさせていただきました。ご意見、ご指導賜れば幸甚に存じます。
                                              平成16年5月末日
うしふさ よしつぐ (福高2回卒業)
牛 房 良 嗣
追伸
    5月23日(日)ラグビーの高校県大会が東福岡高校のグランドで行われ、
    予選を勝ち抜いた福高の1回戦の対戦相手は小倉工業でしたが、
    63対24で快勝し、次の2回戦は5月30日、筑紫高校とグローバルアリーナで
    対戦です。久しぶりの応援で熱い血が蘇ってくるのを覚えました。有難う