第10回議会報告
(平成15年11月定例議会)
1.平成14年度決算の検証
2.水害対策に係る問題
3.人口40,000人突破へ秒読み
4.粕屋町(酒殿地区)大型商業店舗進出の問題
 以上四点についての私の意見をご報告します。
はじめに
 バブルが崩壊して10年以上経ちますが、経済の低迷は依然として続き、
その為に国の税金の減収はとどまるところを知らない状況です。
平成15年の税収見込みはなんと17年前の水準にまで落ち込み
最悪の状態です。平成15年度の国の予算81兆円に対して税収不足
のため44%の36兆円は、借金の国債でまかなわざるを得ない状況です。
国の台所がそうならば企業も個人の台所も同じです。さらに長引く不況は
人の心まで蝕みお金が原因の凶悪犯罪にまでつながり目に余る状態です。
今一番大事なことは『国民の将来に対する不安と心配を取り除き、安心して
お金の使える社会にすることだと思います。政府は痛みの先の目指す
社会を明確に国民に示すべきだと思います。それによって国民は
安心してお金を使えるし内需も活発となり、雇用の確保、拡大も期待でき、
デフレ経済を後退させ、活力ある経済への道が拓かれるものと確信します。
安心して働ける、安心して暮らせる社会の実現へ、私たち一人一人も、
もっと政治に目を向け、声を出すべきだと思います。
1.平成14年度決算の検証
@歳入歳出の内訳は
イ)歳入の内訳
歳入:116億8,526万円
自主財源 町  税 41億43百万円
分担金・負担金 1億76百万円
使用料・手数料 1億21百万円
財 産 収 入 53百万円
繰  入  金 10億23百万円
繰  越  金 6億28百万円
諸  収  入 1億34百万円
61億76百万円
依存財源 地方譲与税 1億07百万円
利子割交付金 55百万円
地方消費税 2億88百万円
自動車取得税 64百万円
地方交付税 20億31百万円
国庫支出金 5億78百万円
県支出金 4億19百万円
町  債 18億12百万円
交通安全 11百万円
55億08百万円
合  計 116億85百万円
・収入で最も大きいのは町税の41億43百万円。次に地方交付税の
20億31百万円3番目の町債18億12百万円は、総合福祉施設、
両中学の給食棟、東中の補修工事等々工事費の借入金。
・自主財源は町で調達できる財源、多いほどよい。
・依存財源は国、県の決定で割り当てられる財源。税源移譲
 (国から地方へ)の対象となっているもの。
ロ)歳出の内訳
歳出:108億4,551万円
議  会  費 1億43百万円
総  務  費 9億75百万円
民  生  費 35億09百万円
衛  生  費 16億81百万円
労  働  費 7百万円
農 林 業 費 73百万円
商  工  費 57百万円
土  木  費 5億59百万円
消  防  費 3億75百万円
教  育  費 24億76百万円
公  債  費 9億86百万円
合     計 108億45百万円
・支出の一番多いのは福祉に関係する民生費35億9百万円。
 (平成14年〜15年の継続工事になっている総合福祉施設の一部が含まれている)
次に、教育費24億76百万円で両中学の給食棟、東中補修工事費が
  含まれております。3番目はゴミ処理等の衛生費16億81百万円等です。
A歳入歳出の検証
イ)歳入歳出の推移(平成11年度〜平成14年度まで)
平成11年 12年 13年 14年
歳入 101億57百万円 102億14百万円 103億89百万円 116億85百万円
歳出 92億91百万円 94億90百万円 97億86百万円 108億45百万円
差引額 8億66百万円 7億43百万円 6億02百万円 8億39百万円
※ 歳入歳出とも年々増加、歯止めの要あり。
ロ)町税の推移・・・・町の歳入の中で一番大きな税収、町の体力を示す。
町税の種類 平成11年 12年 13年 14年
町民税 18億87百万円 18億17百万円 17億61百万円 16億79百万円
個 人 15億22百万円 14億78百万円 14億15百万円 13億54百万円
法 人 3億65百万円 3億38百万円 3億46百万円 3億46百万円
固定資産税 18億89百万円 19億24百万円 20億72百万円 21億33百万円
軽自動車税 33百万円 36百万円 37百万円 40百万円
たばこ税 2億67百万円 2億87百万円 2億87百万円 2億90百万円
40億92百万円 40億66百万円 41億59百万円 41億43百万円
・町民税については個人、法人とも年々低下し大幅な減収となるも固定資産税が年々
 増え町税の減収を補完しているが、納税者の町民にとっては二重苦の重荷となっている。
・志免町は40億円台を堅持、体力の強さがうかがい知れる。
ハ)地方交付税の財政に及ぼす影響は。(年々削減されてきた)
平成10年 11年 12年 13年 14年
志免町 21億1千万円 23億2千万円 24億2千万円 21億5千万円 20億3千万円
宇美町 32億4千万円 34億5千万円 36億2千万円 34億2千万円 32億8千万円
篠栗町 26億6千万円 28億3千万円 29億4千万円 27億8千万円 26億5千万円
須恵町 21億6千万円 23億7千万円 24億7千万円 23億4千万円 21億5千万円
新宮町 12億1千万円 12億7千万円 13億5千万円 13億0千万円 10億6千万円
久山町 13億4千万円 15億1千万円 13億8千万円 12億8千万円 10億2千万円
粕屋町 17億9千万円 21億0千万円 20億8千万円 20億8千万円 19億2千万円
(A)地方交付税とは
 一般財源の不足する地方自治体へ配分される自治体の裁量で自由に使えるもの。
 全国どこの府県、市町村でもほぼ同一水準の一般財源を保障しようとするものです。
 一般財源の不均衡を調整する機能と、消防、高齢者福祉、教育など個々の行政の
 格差是正をはかる働きも併せ持つものです。ところが近年税収の落ち込みで
 地方交付税を確保できず、国は借金で調達してきたが、反面、国に対する依存心も
 助長してきた。見直し論が浮上し、「三位一体の改革」の論議となっている。
(B)三位一体の改革とは・・・地方でやれることは地方へ
a.国庫金補助金、負担金の削減(20兆円規模の補助金を3年間で4兆円減)
b.地方交付税の見直し、削減(都会に厚く、地方に厳しい、不交付団体(市町村)
 人口の割合を大幅に高める)
c.地方への税源の移譲(義務的経費、基幹税)
税源移譲の項目が不明。
地方交付税の見直しは地方の過疎市町村には厳しい。
(C)志免町の受ける影響は
 郡内の中でも町税の多い志免町・粕屋町では地方交付税の額がもともと少ない。
 受ける影響は他町に比べれば低いものの、今後の財政状況を考えるとき、
 従来のバラマキ財政から脱皮し真に必要なものは何かを再点検し、
 入ってくるものに見合う支出を考えるべきです。(収支相等の原則)
ニ)町の地方債(借金)と基金(貯金)は
平成11年 12年 13年 14年 1人当り
地方債(借金) 65億8千万円 61億8千万円 58億7千万円 68億5千万円 17.5(万円)
基金(貯金) 60億1千万円 62億6千万円 65億0千万円 59億5千万円 15.2(万円)
・来年の決算では(平成15年)総合福祉施設他の資金の借入のため、地方債が
100億円近くに増える見込み、基金並びに確実な返済計画で心配は要りません。
B財政面から見た志免町の体力診断と健康診断
イ)体力診断は
町税
平成13年度 標準財政規模
平成12年度
町民税、法人税、固定資産税、たばこ税等 地方自治体の一般財源の標準的大きさを示す
指標(大きいほど良い)
14年度の町税 標準財政
町税平成13年度 標準財政規模平成12年度
町民税、法人税、固定資産税、たばこ税等 地方自治体の一般財源の標準的
大きさを示す指標(大きいほど良い)
14年度の町税 標準財政
1 粕屋町 46億49百万円 1 粕屋町 71億64百万円
2 志免町 41億59百万円 2 志免町 70億57百万円
3 新宮町 35億50百万円 3 宇美町 66億90百万円
4 宇美町 30億34百万円 4 篠栗町 56億97百万円
5 篠栗町 25億31百万円 5 須恵町 49億44百万円
6 須恵町 23億79百万円 6 久山町 26億13百万円
・郡内においては粕屋、志免町の両町が安定した体力のある町と判断される。
ロ)健康診断は
・三指標とも合格点の○は志免町のみ
指数比率 町  名 11年度 12年度 13年度 14年度
経常収支比率

自由に使えるお金が幾ら
あるかを示す指標。
80%以内であれば可
志免町 76.6% 79.7% 78.3% 79.7%
宇美町 72.9% 73.7% 74.5% 77.2%
須恵町 74.6% 75.2% 78.1% 82.1%
粕屋町 64.0% 68.1% 72.2% 77.1%
篠栗町 72.8% 74.4% 72.2% 77.1%
久山町 74.9% 79.5% 83.8% 87.1%
新宮町 77.1% 80.1% 75.7% 84.0%
財政力指数

指数が高いほど
自主財源の割合が
高く財政力の強い町
志免町 0.653 0.642 0.644 0.657
宇美町 0.500 0.485 0.482 0.487
須恵町 0.521 0.510 0.502 0.513
粕屋町 0.712 0.702 0.693 0.703
篠栗町 0.493 0.486 0.485 0.490
久山町 0.471 0.479 0.497 0.556
新宮町 0.743 0.741 0.738 0.751
指数比率 町 名 11年度 12年度 13年度 14年度
公債費がどの程度財政
を圧迫しているかを示す。

数値は低ほど良い
志免町 10.2% 13.4% 13.6% 12.3%
宇美町 16.8% 16.4% 16.2% 16.3%
須恵町 15.5% 15.7% 16.0% 16.2%
粕屋町 10.8% 11.2% 13.4% 14.5%
篠栗町 9.6% 9.7% 12.2% 11.8%
久山町 17.0% 17.9% 19.9% 19.9%
新宮町 13.6% 13.0% 13.6% 15.6%
C財政上から見た問題点
イ)総論
 厳しい経済環境の中のあって一般会計の決算数値から判断する限りにおいては
 健全財政だが、税収は今以上期待できない。むしろ減収の方向にある中、
 今後の歳出については厳しく見直しをはかり、諸事業に対する優先順位を明確にし、
 カットすることに勇断をもってあたらねばならない。全国市町村が税収の減少に苦慮
 するなか、志免町は全国市町村の財政レベルからすれば上位にランクされる。
 その原因の一つは、政令指定都市福岡市に隣接していることが有形無形の大きな
 プラスになっていることを忘れてはならない。
ロ)お金の使い方にはもっと厳しさをもって対処すること
 行政の金銭感覚、お金の使い方が非常に甘い、然もお金を出した後のチェック
 もなければフォローもない。いつまでも同じ様な事故・事件を繰り返している。
 行政の使うお金は役場のお金ではない。町民の血税。自分のお金を使う以上に
 ケチケチに徹して、チェックとフォローを厳しく、緊張感をもって業務に対処されたい。
ハ)『政策評価システム』・4年間一貫して提言、やっと実現
 投資されたお金が妥当か否か、仕事の成果、効果はどうだったか。問題点は何かと
 反省検討し次の仕事に役立てていく。今までは各課がバラバラ、自分流に仕事の
 記録をしていたものを統一し、システム化したもの、行財政改革の基本となることを
 期待したい。平成14年度の決算より主要な施策、事業について評価システムが
 取り入れられスタートした。真に生きたお金の使われることを切望したい。
 ただ一つ注意すべきことは、行政の事業、施策は町民へのサービスが主体
 (民間は採算にあわない仕事はやらない)、単にコスト、事業費のみで事業の
 良否を判断をすることはできない。留意すべきである。
2.水害対策に係る問題
 7月19日集中豪雨の被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。
 9月議会におきまして全議員が水害問題をとりあげ、
・堤防決壊の原因追求と責任
・決壊、破損の堤防の本格的工事への早期着工
・警報情報の伝達について再点検
・町の被災者救済支援を公平に
  等々についての厳しい追求と迅速な対応についての質疑が集中しました。
  私は、ハード面の基本的問題について、次の4点について強く要請したところです。
@ 今後は、町は遠慮することなくもっと積極的に県との交渉に当っていただきたい。
  県と対等に協議するには、町は宇美川および周辺水路について詳細な調査の上、
  志免町独自の改修、保全計画をもち、県との協議に望むべきである。町独自の
  計画策定のための調査については、宇美川のみに留まらず内水対策についても
  併せて調査すべきである。
A町は従来の県任せから脱却し、県土木とも協議の上、町も宇美川の保全、管理に
  ついて協議、協力すると同時に、町も自分の予算を使い、継続的、計画的な保全、
  管理をなすべきである。具体的には川底の浚渫、堤防のかさあげ等について、
  町主導型を積極的に進めていただきたい。
B7月19日豪雨による宇美川の破損決壊の補修工事の進行状況を早急に町民に報告し、
  安心させていただきたい。
C今回の水害は行政の「ハコモノ行政」に対する警鐘と受け止めていただきたい。
  「ハコモノ行政」から脱却し、「治山治水」の行政本来の基本にたちかえり、町民の安全
  と財産を守ることを第一義に徹して貰いたい。 選挙目当て、人気取りの行政では町も
  町民も守れないことを知るべきである。 以上4点について町長へ提言、
実践を要請しました。
3.志免町の人口40,000人突破へ秒読み
少子高齢化、人口減少の世の中にあって志免町では、年々人口が増え、4万人突破も
 秒読みの段階に入りました。4万人突破を契機に、改めて、福祉、教育、環境面での
 「志免らしさ」を鮮明にした町づくりをさらに進めていくべきである。
4万人突破の記念事業を提案した。
@出生児が毎年増えています
平成11年 12年 13年 14年
出生児 428人 477人 436人 476人
死亡者 274人 260人 248人 272人
出生−死亡 +154人 +217人 +188人 +204人
・出生児が増え確実に増えている。
A高齢者と子どもの共存共栄する町
11年9月 12年9月 13年9月 14年9月 15年9月
総人口 38,275人 38,436人 38,600人 38,745人 39,478人
70才以上
(比率)
3,423人
(8.9%)
3,584人
(9.3%)
3,729人
(9.6%)
3,920人
(10.1%)
4,040人
(10.2%)
0〜10才 4,054人
(10.6%)
4,056人
(10.5%)
4,123人
(10.7%)
4,169人
(10.7%)
4,349人
(11.0%)
・70才以上が増えていることは、一歩一歩長寿社会へ。
B転入者も毎年増えています
平成11年 12年 13年 14年
転入者 2,723人 2,395人 2,634人 2,806人
転出者 2,684人 2,598人 2,532人 2,577人
転入−転出 +39人 -203人 +108人 +229人
・転入者が転出者を上回り人口増につながる。
C 40,000人突破へ秒読み
・志免町の人口のあゆみ
昭和40年 昭和50年 昭和60年 平成7年 平成15年9月
16,859人 29,052人 33,622人 36,199人 39,478人
・県内の町の中で人口4万人以上は、那珂川町、福間町の2町のみ、3番目に志免町か。
4.粕屋町(酒殿地区)の大型店舗進出に対する町の対応について
志免町役場のすぐそばに建設されております大型商業店舗は、敷地面積が志免町役場の
 8倍の広さで、来年8月オープンを目指し急ピッチで工事が進められております。
@町の商業、事業所にどんな影響をあたえるか、対策は十分か。
A交通渋滞が予測されるが対策は十分か。
 本件に関しましては再三再四、行政に提言して参りましたが、不十分と言わざるを得ない
  状況です。
@町の商業事業所に与える影響については、
 現在、志免町では毎年200億円(一般会計・特別会計をあわせると)のお金が
 使われておりますが、できるだけ行政の使うお金は地元に落とし、税金として
 また町に戻ってくる(地元還流経済)ことが望ましい。現在、行政は地元の商店、
 事業所を優先的に利用するように変わってきました。
 ものを買う時は先ず地元の商店、建設工事関係もできるだけ地元業者の利用を優先する。
 志免町のお金は志免町で使うことについては現在行政と商工会で具体的対策について
 検討中。これからの問題点としては、現在行政と商工会の一体化はすすんできているが、
 これに消費者である町民の声が反映されなければならない。三者一体こそが志免町の
 活性化の原点であり、これに近づけるべく努力していきたい
A町の交通問題については、
 交通渋滞、事故、暴走族騒音、排気ガス等々から町民の安全をどう守っていくのか、
 いますぐ着手すべきである。大型商業店舗オープンしてからでは手遅れ。
 現在行政(建設課担当)に要請していることは、町内会ごとに県道、町道、生活道路、
 通学路等を再点検し、不備、補修、設置等についての申請を行政へあげる。
 行政は町内会と相談し早急に着手する。具体的には、信号機の設置、ミラーの設置・
 点検、道路の白線・黄線・一時停止線の点検、スピード標識・進入禁止標識の点検、
 通学路点検、街灯・防犯灯の点検ならびに新設箇所、角地、離合場所の確保,等々。
 来年3月末までの完了を要請している。合併の問題、子どもの学力向上問題、
 高齢者の健康づくり推進、福岡空港移転の問題、久山町へのアメリカのパラマウンド社
 進出等々、私たちの周辺をとりまく諸問題について今後ともご報告申し上げたいと
 思っております。